「芯で捉えた」という感覚を、データで定義できるか。Statcastの答えがバレル(Barrel=バットの芯)だ。
バレルの定義
バレルは打球速度と打球角度の組み合わせで決まる。
- 出発点は 打球速度98mph・打球角度26〜30度。この組み合わせで打率.500・長打率1.500を超える
- 打球速度が1mph上がるごとに、認定される角度の範囲が広がる
- 116mph以上になると、角度8〜50度というほぼすべてのフライ・ライナーがバレル認定される
つまり「速い打球ほど多少角度がズレても長打になる」という現実をそのまま定義に落とし込んでいる。
バレルになった打球はどうなるか
MLB全体で、バレル打球はおおむね打率.500超・長打率1.500超、そして半分以上が本塁打になる。逆に言えば、シーズン40本塁打の打者とは「バレルを年間40〜60回生産できる打者」のことだ。
バレル率の目安
バレル率には「打球あたり(Brls/BBE)」と「打席あたり(Brls/PA)」があり、文脈で使い分けられる。打球あたりの目安:
| バレル率(打球あたり) | 評価 |
|---|---|
| 4%未満 | パワー不足 |
| 6〜8% | MLB平均 |
| 10〜13% | 強打者 |
| 15%以上 | トップスラッガー |
アーロン・ジャッジのような歴代級のシーズンでは25%を超える。打球の4本に1本が「打率.500・長打率1.500ゾーン」に飛んでいる計算で、これは投手からすればほぼ手の打ちようがない。
なぜ本塁打数よりバレルを見るのか
本塁打は球場の広さと風に左右されるが、バレルは打球そのものの質だけで決まる。フェンス手前で捕られようが、バレルはバレル。だから「今年ブレイクする打者」を探すとき、本塁打数の伸びより先にバレル率の伸びを見るのがStatcast時代の定石になっている。