「8回に勝ちゲームをつないだ投手が評価されない」——かつてそんな不満が野球ファンの間で議論されていた。そこで生まれたのが**ホールド(HLD / Hold)**だ。
ホールドの成立条件
以下をすべて満たす場合にホールドが記録される。
- 先発投手ではないこと(救援登板であること)
- 勝利投手、敗戦投手、セーブ投手のいずれでもないこと
- セーブ成立条件を満たす場面で登板したこと(3点差以内のリードでの登板、または後続に引き継いでもリードが継続)
ポイントは「セーブ成立条件を満たした場面で引き継ぎ、リードを保ったまま後続に渡したか」という点だ。
具体例
| 状況 | ホールド成立? |
|---|---|
| 7回に3点差以内のリードで登板し、無失点で8回へ引き継ぐ | ✅ 成立 |
| 7回に5点差リードで登板し、安定して抑える | ❌ 不成立(差が大きすぎる) |
| 8回に1点差で登板し、1点失うも逆転されずに9回へ | ✅ 成立(リードは守った) |
| 9回を抑えてセーブを記録 | ❌ ホールドにはならない(セーブが記録される) |
NPBとMLBでの扱いの違い
NPBでは2005年シーズンから公式記録として採用されており、セーブ同様に公式スタッツとして表示される。クローザーと並ぶ「勝利の方程式」を担う中継ぎ投手への評価として定着している。
一方MLBでは、ホールドはセーブほど一般的な指標として扱われておらず、「公式の扱いは限定的」な位置づけだ。MLBでは中継ぎ評価にERA・FIP・WPAなどの指標を重視する傾向がある。
ホールドの読み方と限界
ホールドも「機会の多い投手が有利」という構造的な問題がある。
さらに「3点差以内でリードを守れば良い」というルールのため、同じホールドでも:
- 1点差の場面を抑えた → 高い緊張度
- 3点差で登板して1失点 → 余裕のある場面
という差が数字に現れにくい。
より実力を見るには**ホールドポイント(HP = HLD + 救援失敗を除いた項目)**や、ERA・WHIPなどの「実質的な失点率指標」と組み合わせるのが現代的なアプローチだ。
クローザーと中継ぎの評価の違い
| 記録 | 対象 | 典型的な場面 |
|---|---|---|
| セーブ(SV) | クローザー | 最終回、3点差以内を抑える |
| ホールド(HLD) | 中継ぎ | 6〜8回、リードを守って引き継ぐ |
| 勝利(W) | 勝利時の投手 | リードした段階で登板していた先発/中継ぎ |
「勝利の方程式」と呼ばれるリリーフ陣全体への評価として、セーブとホールドを組み合わせて見るのがNPB観戦の標準的な視点になっている。